にわかな知識をひけらかす愚か者へ

しゃちこばった堅苦しい言葉を使えば通じると思ってる人が多い。

自分の知識を深めるために知恵の残飯処理をさせてるだけでその気になってる愚かな著者が増えた気がする。自分に知識が足らないことを「分かりやすくするために単純にしてる」などと戯けたことを宣う。

つまり重厚で内容豊かな、そもそも書くに値する思想があれば、素材と内容にことかかず、そうした思想は文法や語彙のうえでどこをとっても完璧な文章を十二分に満たし、空疎で無意味、軽率な箇所はまったくないばかりか、つねに簡潔で簡明的確な文体となる。いっぽう思想はそこにわかりやすく、ぴったりの表現を得て、優美に伸びやかに展開する。

だからひとつひとつの語を切りつめたり、文章形態を小さくすぼめたりするのではなく、まず思想を大きく豊かに開花させるべきだ。ちょうど病み上がりの人が、身体に合わなくなったからといって服を細く詰めるのではなく、まず体重の回復をはかって服をもとどおり身体にフィットさせるべきであるように。